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昔の日本民家では当たり前だったんだ。

今のマンションのスタイルって何十年も変わらないですよね。面積は広いけど何分割にも部屋が小分けにされ、リビングには必ずといっていいほど畳の部屋が食い込んでいる。

ぱっと見広く感じていても動線に鑑賞していたり、部屋の周りを窓や扉が囲んでいたりすると何も置けない空間になる。

リノベーションが当たり前の時代、住み方は多種多様になってきているにも関わらず、型にはまったレイアウトにはうんざりきている。文化の違いもあるが玄関で靴を脱ぎ、リビングや各居室にいくには廊下を通らなければアクセスできない。

日本は狭い土地だからこそ省くことができるものは無くしていくべきだと考える。廊下こそ一番無駄なスペースだ。

このケースではほとんどの廊下を無くし、玄関からいきなりキッチンダイニングとなるデザインとした。

暖簾(のれん)をくぐれば奥には板張りのリビングが広がる。もちろんプライバシーはきになるが、玄関前に中が見えなくなる間仕切りは作らなかった。スペースを完全に有効利用したかったからだ。

しかし、玄関前はいつ何時でもお構いなく人が通る訳でもなければ、郵便局や荷物の配達員は一週間に何回来るだろう。そのごくわずかな頻度のために部屋の中を隠すことを選択することは固定観念のなんでもないと私は感じている。昔の古民家などに見られるように近隣の人たちとの繋がりがもっと密な関係だった頃、鍵もかけなければ、部屋の中は筒抜けに近い暮らしをしていた頃、玄関をくぐれば土間の中に炊事場があり、そこから各部屋に連絡していた時代もあった。

このケースでも同じようなことをやった結果、廊下が無いぶん広々としたLDKが広がり凛とした雰囲気を出している。ダイニングとリビングには段差があり、ダイニングキッチンでは下駄や草履を履いて移動する。

あえて煩わしいことを情緒として捉えればそれはそれで味になると考えたからだ。

このアパートの住戸の共用部にも日本テイストを取り入れ、竹をくりぬいたオリジナルの照明は足元をほんのり照らす灯りとなった。

漢字表記した号室も味わいの一つとなった。